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図1のように、質量 m の小球を点Oから水平に速さ v0 で投げたところ、小球は鉛直な壁面上の点Pではね返って、水平な床の上の点Qに落ちた。点Oの床からの高さを h 、壁からの距離を L 、小球と壁の間の反発係数(はねかえり係数)を e (0 < e < 1)、重力加速度の大きさを g とする。ただし、小球は壁に垂直な鉛直面内で運動するものとする。また、壁はなめらかであるものとする。

図 1

(問1)小球を投げてから点Pに当たるまでの時間 t1 を式で表わせ。

(問2)小球を投げてから点Qに落ちるまでの時間 t2 を式で表わせ。

(問3)点Oから投げた直後の小球の力学的エネルギー E0 と、点Qに落ちる直前の力学的エネルギー E1 の差 E0 - E1 を式で表わせ。

#センター15本試物理

(問1)
水平投射においては速度の水平成分は等速直線運動になるから、掛かる時間は距離を速さで割って、

     t1 = \(\large{\frac{L}{v_0}}\)

 

 

(問2)
反発係数e のなめらかな壁ではね返ることというのは、

壁面に垂直な成分(水平成分)の大きさが e 倍になり、壁面に平行な成分(鉛直成分)は変わらないということです。

よって、小球が点Qにまで達するまで時間は、壁面に衝突しない(壁が無い)場合と同じであり、それは(鉛直成分だけ考えれば良く)小球が自由落下したのと同じ時間です。

自由落下運動の変位の式(y = \(\frac{1}{2}\)gt2)を立てますと、

    h = \(\large{\frac{1}{2}}\)gt22

 ∴  t22 = \(\large{\frac{2h}{g}}\)

 ∴   t2 = \(\sqrt{\frac{2h}{g}}\)

 

 

(問3)
もし、点Oから点Qに直接落下したのなら、力学的エネルギーは不変です

さらに、もし、点Pでの衝突が弾性衝突(e = 1)であった場合、このときも力学的エネルギーは不変です

力学的エネルギーが変わって(減って)しまうのは、点Pで非弾性衝突をするからです(『同質量、同速度で向かい合い、e = 0.5』参照)。力学的エネルギーが減るのは非弾性衝突するこの瞬間だけであり、しかも、速度が変わるのは水平成分だけで、鉛直成分は変化しません。つまり、点Pでの衝突の速度の水平成分の変化による運動エネルギーの減少分が求める E0 - E1 です。

衝突直前の速度の水平成分は v0 で、
衝突直後の速度の水平成分は e × v0 だから、
衝突前後での速度の水平成分の変化による運動エネルギーの減少分は

  \(\large{\frac{1}{2}}\)mv02 - \(\large{\frac{1}{2}}\)m(ev0)2

  = \(\large{\frac{1}{2}}\)mv02(1 - e2)

  = \(\large{\frac{1}{2}}\)(1 - e2)mv02

答え  E0 - E1 = \(\large{\frac{1}{2}}\)(1 - e2)mv02