仕事率

仕事率

仕事率

同じ仕事をするにしても、どのくらい短時間で済ませたのかが問題になることがあります。あるいは、いま行われている仕事のスピードが気になることがあります。このような場合、仕事を時間で割った仕事率という物理量を用います。仕事 W [J] を時間 t [s] で割ったものが仕事率 P [W] ですP は Power から。
[W] は19世紀のスコットランドのエンジニア、ジェームス・ワット James Watt から。
W は仕事を表す量記号、[W] は仕事率の単位です。混同しないように気を付けてください。
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仕事率

 P = \(\large{\frac{W}{t}}\)

1[W] とは、1[s] 当たりに 1[J] の仕事をしたときの仕事率です。1[W] = 1[J]/1[s] = 1[J/s] です。この式を変形して別の見方をすると、1[J] = 1[W]×1[s] = 1[Ws] です。仕事は、仕事率に時間を掛けたものといえます。

仕事の単位(仕事率の単位ではなく)に [kWh] キロワット時(キロワットアワー)というものがあり、[k] は 1000、[h] は1時間という意味で、
1[kWh] = 1000[W] × 1[h] = 1000[W] × 60 × 60[s] = 3.6 × 106[Ws] = 3.6 × 106[J] であります。
この [kWh] という単位は家庭用の電気料金の徴収の際に使われています。

  仕事率 = 電力  ……①
  仕事 = 電力量  ……②

です。仕事と電気エネルギーは結びつけることができます。
①に時間を掛けたものが②であり、②を時間で割ったものが①です。

仕事率と速さ

速さ v [m/s] というものは、距離 s [m] を時間 t [s] で割ったものです。v = \(\large{\frac{s}{t}}\) です。(距離を表す量記号 s と、時間の単位 [s] を混同しないようにしてください。)

仕事は、W = F s です。

これらを利用して仕事率の式を変形しますと、

    P = \(\large{\frac{\color{#c3c}{W}}{t}}\) = \(\large{\frac{\color{#c3c}{F\ s}}{t}}\) = \(\large{\frac{F\ \color{#f80}{s}}{\color{#f80}{t}}}\) = Fv

となります。上の仕事率の公式をあらためて書き直します。

仕事率

 P = \(\large{\frac{W}{t}}\) = F v

この式は、物体に一定の力 F [N] を加えて、一定の速さ v [m/s] で力の方向に動かしたときの仕事率は P = F v [W] である、ということを表しています。

力を加えているのに速さが一定であるのはおかしいと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、ここでは、加えた力が抵抗力(摩擦力など)とつり合って、その合力が 0 となって速さが一定となっている、ということが前提です。このあたりのことについて補足ページで解説しましたのでご参照ください。