qGBB9

空き箱と焦点距離 100mm の凸レンズを用いて、図1のようなカメラを作った。スクリーンは半透明の紙で、映った像をカメラの後ろ側から観察することができる。図2の配置で、スクリーン上に物体Aの像がはっきり映るように、レンズとスクリーンとの距離 x を調整した。

 

(問1)スクリーン上の像を表す図として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

    

(問2)レンズと物体Aとの距離は 600mm であった。レンズとスクリーンの間の距離 x はいくらか。

(問3)レンズの下半分を黒い紙で覆った。このとき、スクリーン上の像はどのように変化したか。最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

① 像の下半分が見えなくなった。
② 像の上半分が見えなくなった。
③ 像全体が暗くなった。
④ 像全体が明るくなった。
⑤ 像が小さくなった。
⑥ が大きくなった。

#センター08本試

(問1)
レンズによる像』において凸レンズでは上下反転した像ができると説明しましたが、左右方向についても(1)、(2)、(3)にのっとって考えれば、左右が反転します。①~④の選択肢の中で、上下も、左右も反転しているのはです。

 

 

(問2)
レンズの公式に代入して求めます。

  \(\large{\frac{1}{a}}\) + \(\large{\frac{1}{b}}\) = \(\large{\frac{1}{f}}\)

この式は『物体を焦点より遠くに置いたとき』の②式のことでもあります。

本問では a = 600 、b = xf = 100 だから、

    \(\large{\frac{1}{600}}\) + \(\large{\frac{1}{x}}\) = \(\large{\frac{1}{100}}\)  両辺に 600x を掛けて

 ∴  x + 600 = 6x

 ∴  5x = 600

 ∴   x = 120 [mm]

 

 

(問3)
「① 像の下半分が見えなくなった。」を選んでしまった人が多いと思いますが、これは間違いです。

レンズによる像』で説明しましたが、ろうそくAの中のある一点から出た光はレンズ全体に広がって、そして、ろうそくBのある一点に結集します。

ろうそくAのある一点から出た光はレンズのある一点を通ってろうそくBのある一点に到達する、と勘違いしている人が多いと思いますが、違います。正しくは、一点 → 全体 → 一点 、です。それが各点についていえるのでAからBに向かう光線というのは無数に入り組んでいます。

ですので、レンズの下半分を覆っても像はちゃんと全部映ります。しかし光量が減るので像は暗くなります。

答えは ③ 像全体が暗くなった。です。

 

たとえレンズの 3/4 を覆ってしまっても、相当暗く映ることになりますが、像は全部映ります。このへんのことは『レンズを通る光_補足』で詳しく解説しましたのでお読みください。

また、像が小さくなったり大きくなったりする場合というのは、レンズの曲率つまり焦点距離が変わった場合や、レンズと物体Aとの距離が変わった場合です。