図2のように、質量 m のおもりがつり下げられた糸の上端を手で持ち、糸の傾きを一定に保ちながらおもりを水平方向に直線運動させる。糸が鉛直となす角度を θ とするとき、おもりの加速度の大きさ a はいくらか。ただし、空気の抵抗は無視できるものとし、重力加速度の大きさを g とする。
#センター09本試
もし一定の速度で引っ張っていたら、おもりは鉛直下向きに垂れ下がってしまいます。この場合にはたらく力は左図のような張力 T' と重力 mg です。
角度 θ を一定に保ちながら運動させるということは、おもりを持っている人は加速しながら走っているということです。この問題は電車内での糸の問題や円錐振り子の問題と同じです。
このときの張力 T の水平成分は ma です。質量 m の物体が加速度 a で運動しているのですから。
よって、
Tsinθ = ma ……①
また、鉛直方向にはおもりは動かず、張力 T の鉛直成分と重力 mg がつり合っています。つまり、
Tcosθ = mg ……②
非慣性系(糸を引っ張っている人から見た場合)で考えた場合は、
このようになります。
この3力がつり合って静止しているように見えます。
①式を②式で割りますと、
\(\large{\frac{T\sinθ}{T\cosθ}}\) = \(\large{\frac{ma}{mg}}\)
∴ \(\large{\frac{\sinθ}{\cosθ}}\) = \(\large{\frac{a}{g}}\)
∴ tanθ = \(\large{\frac{a}{g}}\)
∴ a = gtanθ
(余談)
g と同じ加速度で横に引っ張り続ければ、角度を 45° に保てます(∵ tan45° = 1 )。このときおもりには 1G(いちじー) の横Gが掛かっています。
角度を 30° に保ちたい場合はどのくらいの加速度で引っ張り続ければよいでしょうか?
\(\large{\frac{1}{\sqrt3}}\)g です。約0.58g です。(∵ tan30° = \(\large{\frac{1}{\sqrt3}}\) )
では角度を 60° に保ちたい場合はいくらでしょう?
\(\sqrt3\)g です。約1.73g です。(∵ tan60° = \(\sqrt3\) )