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図1のように起電力 V 、内部抵抗 rn個の電池E1、E2、…、Enn個のスイッチS1、S2、…、Sn、抵抗 R を接続した回路がある。

図 1

(問1)二つのスイッチS1、S2のみを閉じたとき、抵抗 R に流れる電流はいくらか。

(問2)スイッチS1、S2、…、Sn のすべてを閉じたとき、電池E1の内部抵抗に発生する単位時間あたりのジュール熱はいくらか。

(問3)すべてのスイッチS1、S2、…、Sn を閉じた状態で抵抗 R に流れる電流を I とする。n個の電池を図2のように起電力が V で内部抵抗が r' の1個の電池Eに置き換え、抵抗 R に同じ大きさ I の電流が流れるようにしたい。内部抵抗 r' をどのようにとればよいか。

図 2

#センター05本試

(問1)
E1 に流れる電流を I1 としますと、

まったく同じ部品の E2 にも同じ大きさの電流が流れているはずで、さらに、キルヒホッフの第1法則により抵抗 R には 2I1 の電流が流れているはずです。

また、左図のような経路についてのキルヒホッフの第2法則の式を立てますと、

  V = 2I1R + I1r 
このような経路を考えてもまったく同じ式になります。

∴ I1 = \(\large{\frac{V}{2R+r}}\)

I1 が求まり、

抵抗 R を流れる電流は

    2I1 = \(\large{\frac{2V}{2R+r}}\)

と求まります。

(問2)スイッチS1、S2、…、Sn のすべてを閉じたとき、電池E1の内部抵抗に発生する単位時間あたりのジュール熱はいくらか。

E1 に流れる電流を I2 としますと、

まったく同じ他の部品にも同じ大きさの電流が流れているはずで、さらに、キルヒホッフ第1法則により抵抗 R には nI2 の電流が流れているはずです。

また、左図のような経路についてのキルヒホッフ第2法則の式を立てますと、

  V = nI2R + I2r

∴ I2 = \(\large{\frac{V}{nR+r}}\)

I2 が求まります。

よって、電池E1の内部抵抗に発生する単位時間あたりのジュール熱

    \(\large{\frac{Q}{t}}\) = I22r = \(\big(\large{\frac{V}{nR+r}}\big)\small{^2}\large{r}\) = \(\large{\frac{rV^2}{(nR+r)^2}}\)

となります。

(問3)すべてのスイッチS1、S2、…、Sn を閉じた状態で抵抗 R に流れる電流を I とする。n個の電池を図2のように起電力が V で内部抵抗が r' の1個の電池Eに置き換え、抵抗 R に同じ大きさ I の電流が流れるようにしたい。内部抵抗 r' をどのようにとればよいか。

図 2

問2で説明したように、抵抗 R に流れる電流は nI2 であり I2 = \(\large{\frac{V}{nR+r}}\) であるから、

    I = nI2 = \(\large{\frac{nV}{nR+r}}\)

です。

また、図2におけるキルヒホッフ第2法則の式を立てると、

    V = IR + Ir'

であり、これを上式に代入すると、

    I = \(\large{\frac{n(IR+Ir')}{nR+r}}\)

 ∴  1 = \(\large{\frac{n(R+r')}{nR+r}}\)

 ∴  nR + r = n(R + r')

 ∴  r = nr'

 ∴  r' = \(\large{\frac{r}{n}}\)

と求まります。

 

5個の電池を1個にする場合には内部抵抗を \(\large{\frac{1}{5}}\)、10個の電池を1個にする場合は内部抵抗を \(\large{\frac{1}{10}}\) にすればいいわけで、これは何となく直感で答えられそうです。