逆2乗の法則

逆2乗の法則

全方位に偏り無く放射されるもの

ある点から全方位今ここでの全方位というのは3次元的な全方位です。2次元的とか4次元的ではなく。
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に偏り無く影響力を及ぼすものがあるとき、その影響力は発生源からの距離の2乗に反比例します。逆2乗の法則といいます高校物理で特段、取り上げられるワードではないのですが、知っておいてほしい事柄なので本項で解説しておきます。
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球面の面積は、半径が r であるとき、4πr2 ですが、これはつまり、半径が2倍になると球面の面積は4倍になり、半径が3倍になると球面の面積は9倍になるということです。

発生源から全方位に偏り無く1万本の矢が放射されているとすると、半径2倍の球面においても1万本の矢が貫通し、半径3倍の球面においても1万本の矢が貫通しています。

そうしますと、半径2倍の球面を貫く矢の密度は \(\large{\frac{1}{4}}\) になり、半径3倍の球面を貫く矢の密度は \(\large{\frac{1}{9}}\) になります。(『電気力線の性質 4.』『電荷におけるガウスの法則』『等電位面』参照)

これが「影響力が発生源からの距離の2乗に反比例する」という意味です。



このとき、矢が貫く面は曲面でなく平面であってもO.K.です。中心からの距離の2乗に比例しさえすればO.K.です。
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たとえば、音は距離が2倍離れると強さが \(\large{\frac{1}{4}}\) に減ります音の強さの定義やら、地面からの反射などのことは置いといて、あくまでも一般論の話です。
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。あるいは、照明器具から2倍離れるとその明るさは \(\large{\frac{1}{4}}\) になります。その他、万有引力や、静電気力もそうです。

逆にいいますと、影響力が距離の2乗に反比例するようなものというのは、全方位に偏り無く放射されているものである可能性が高いです。

2次元、4次元

平面的なネットを伝わる円形波については、3次元的に全方位に伝わるものではなく、これは2次元的に同心円状に影響力が広がるものですが、このときの影響力は距離に反比例するといえます。

想像しにくいことですが、もし4次元的に全方位に放射されるものがあるとすれば、その影響力は距離の3乗に反比例するはずです。

遠く離れると平行(平面波)になる

放射状に影響力を及ぼすものがあるとき、その近くでは中心からの距離によって影響力は大きく変化しますが、遠く離れた地点では(あるいは影響を受ける面が小さい場合は)影響力はあまり変化しません。たとえば、太陽の近くでは太陽光に関して逆2乗の法則が成り立ちますが、遠く離れた地点(地球など)においては太陽光線はほぼ平行になってしまいます。実質的に、球面波が平面波になってしまっています。