6.1.5.1 コンデンサー

前提

本項ではコンデンサーについて説明しますが、その前に押さえておきたいことがいくつかあります。

電流の向き

ご存知かとは思いますが、電流の向きと自由電子の動く向きは逆です。自由電子が左に動いたとき、電流は右に動いたとみなします。

正電荷が動くということ

6.1.4.1 で説明したように、導体内部で、自由電子(負電荷)と同じように、正電荷も自由に動くとみなします。

ゆっくり再生してみます。



が左に進んでいるときに は右に進んでいます。 閉じる

負電荷()が動くということは正電荷()が逆向きに動くことと同等です。電流の向きというのは正電荷の動く向き、と定められています。

  

導線

電気回路の導線というものは、導体を細長くしたものです。物体を電気的性質に関して分類すると、導体不導体に分けられますがもう一つ、本当は、半導体というものもあります。閉じる、その内の導体です。

導線は導体であるので帯電することができますが、本項の説明においては、導線には電荷はとどまらないこととします。

電池

電気回路において電池(電源)というものは、+極から負電荷(自由電子)を引き込んで、ー極に負電荷を送り出す装置です。

これは、ー極から正電荷を引き込んで、+極に正電荷を送り出す装置、とみなすこともできます。

さらに、+極に大量の正電荷を抱えていて、ー極に大量の負電荷を抱えている導体、とみなすこともできます。正電荷の数と負電荷の数は同数で、正電荷が1つ増えた場合は負電荷も1つ増えます。

コンデンサー

導体Aに電池の+極、導体Bに電池のー極をつなぐと、導体Aは正に帯電し、導体Bは負に帯電します。

導体Aと電池の+極を領域Aとしますと、領域Aの中で正電荷が押し合いへし合いをして、その結果、導体Aに正電荷が現れます。押し合いへし合いは領域Aが等電位になるまで続き、等電位になったところで電荷の動きは止まります。(パスカルの原理のことです)。一方、導体Bと電池のー極を領域Bとしますと、領域Bでも同様のことが起こり導体Bに負電荷が現れます。

次に導体Aと導体Bを近づけると、それぞれの正電荷と負電荷が引きつけ合い、導体に余白が生まれ、押し合いへし合いの末、余白に正電荷、負電荷が割り込んで来ます。

つまり、導体Aと導体Bを近づけるとそこに貯まる電荷が増えるのです。

なるべく多くの電荷を貯めたいのであれば、導体の形を板状にして、大きくして、なるべく近づけるといいです。

このように電荷を貯めることができる装置をコンデンサーといいます。貯めるための導体を極板といいます。そして極板が平行なとき、これを平行板コンデンサーといいます。

一度コンデンサーに貯まった電荷は、電池を切り離しても、そのままとどまります。正電荷と負電荷がお互いに引きつけ合っているからです。

電気容量

たくわえられた電気量

コンデンサーの片方の極板に +Q [C] 、もう片方の極板に -Q [C] の電気量が帯電しているとき、このコンデンサーには Q [C] の電気量がたくわえられている、と定義します。(決して、合計で 0 になるなどと考えたり、絶対値を合計して 2Q になるなどと考えたりしません)。

この、コンデンサーにたくわえられた電気量 Q [C] と、コンデンサーの極板間の電位差(電圧)V [V] の関係を探ってみます。

電気力線の本数

極板間の電場の強さを E [V/m] [V/m] = [N/C]閉じるとし、1 m² 当たりの電気力線の本数を E 本とします。(普通、電気力線の密度は電場の強さと数値が同じになるように設定します。)

すると Q [C] の電荷がたくわえられたコンデンサーの極板間の電気力線の総数は、ガウスの法則より、4πkQ 本です。これは正極板から湧き出す電気力線がすべて負極板に向かうとみなしたときの考え方です。

電気力線を求める考え方はもう一つあります。

+Q [C] の電荷をたくわえた正極板からは上にも下にも電気力線が湧き出ていて、その総数が 4πkQ 本であり、上へ 2πkQ 本、下へ 2πkQ 本湧き出しています。-Q [C] の電荷をたくわえた負極板は上からも下からも電気力線を吸い込んでいて、その総数が 4πkQ 本であり、上から 2πkQ 本、下から 2πkQ 本吸い込んでいます。

正極板の上側はそれぞれの電気力線の方向が逆なので打ち消し合います。負極板の下側も同様に打ち消し合います。残るのは極板間の電気力線だけで、それぞれの電気力線の方向が同じなので、電気力線の総数は 2πkQ 本の倍の 4πkQ 本となります。

このように考え方には二通りあります。結果は同じですのでどちらの考え方でもかまいません。

電気力線の本数のもう一つの表現方法

電気力線の本数に関してはもう一つの表現方法があります。

コンデンサーの極板の形は正極板も負極板も同じで面積が S [m²] であるとします。そうしますと、今、1 m² 当たりの電気力線の本数を E 本と決めているので、この極板から出る電気力線の本数は S * E = ES 本です。

つまり、このコンデンサーの極板間の電気力線の本数は 4πkQ 本であり、ES本です。

    4πkQ = ES  ……①

まわりくどい話になってしまってわかりにくいかもしれませんが、静電気の分野においてはこのように架空の電気力線をイメージしながら物理量の関係式を導き出します。電荷から発生する静電気力というものの影響力を考えるには、正電荷から負電荷(負電荷が無い場合は無限遠の彼方)を結ぶ線、電気力線を仮定して、それをどのようにくるむか(ガウスの法則)、くるんだ領域の中に何本の電気力線があるか、を考えるとうまくいきます。

電気量と電位差の関係

①式によって電気量 Q と電場 E の関係がわかりました。あとは電場 E と電位差 V との関係がわかれば電気量 Q と電位差 V の関係がわかります。

平行板コンデンサーの極板間の電場はあきらかに「一様」です。電気力線はまっすぐだし、等間隔です。となりますと、極板間の距離を d [m] としたとき

    V = Ed

が成り立ちます。変形しますと

    E =   ……②

②式を①式に代入しますと

    4πkQ = S

 ⇒  4πkQ = V

 ⇒  Q = V  ……③

これで電気量 Q と電位差 V の関係が導き出せました。

電気容量

③式の の部分は定数です。kクーロンの法則の比例定数ですし、S はコンデンサーの極板の面積ですし、d は極板間の距離です。この定数の部分を C とおきますと

Q = CV

となります。この定数 C capacitance から閉じる電気容量(静電容量、キャパシタンスcapacitance = capacity(容量)+ ance(量・程度を表す名詞語尾)閉じる)といいます。単位は ファラド [F] 19世紀のイギリスの物理学者マイケル・ファラデーから閉じるです。上式より [C] = [F]*[V] ですので、[V] = [C/F] でもあります。[F] はちょっと大きすぎる単位で、実際には マイクロファラド [μF] =10-6F閉じるや ピコファラド [pF] =10-12F閉じるが多く用いられます。

上式より、コンデンサーにたくわえられる電気量 Q は電気容量 C と極板間の電位差 V に比例します。電位差が同じであれば電気容量が大きいほど多くの電気量が貯められます。電気容量はコンデンサーの電荷の貯めやすさを表しているといえます。さらに、

    C =

とおきましたので、電気容量 C は極板の面積 S に比例し、極板間 d に反比例するといえます。コンデンサーは、極板が大きいほど、また、極板間が小さいほど電荷がたくさん貯まるということです。

さらに、ε とおくと

    C = ε

となり、ε を誘電率といいます。次項で説明します。

話の流れ

上の①式からの流れをまとめてみます。

    4πkQ = ES  ……①

        E =   ……②

        ……③