5.3.4.2 万有引力

万有引力の法則

ニュートンが発見

ニュートンかの有名なアイザック・ニュートンのことです。1642年~1727年、イギリス。物理学の祖といえる人です。閉じるは、惑星が太陽のまわりを回り続けるのは、惑星と太陽との間に引力がはたらくため引力が無ければ2つの物体は離ればなれになってしまいます。閉じると考えました。そしてその引力の大きさは、ケプラーの法則から、惑星と太陽の距離の2乗に反比例し、惑星の質量厳密には、惑星と太陽の質量、に比例なのですが今は太陽系の惑星のことだけを考えているので太陽の質量は省略します。閉じるに比例するということを導き出しました。さらに、この力は、惑星と太陽との間にだけにはたらくのではなくあらゆる万物の間にはたらくと考えました。これを万有引力の法則といいます。

ケプラーの法則から導き出す

惑星と太陽との間にはたらく引力の大きさを導き出してみます。

計算を簡単にするため惑星は楕円運動ではなく円運動をしていると仮定します。実際に太陽系の惑星の軌道は円に近い楕円になっています。

そうしますと、ケプラーの第2法則よりこの円運動は等速円運動ということになり、5.3.1.1 円運動5.3.1.2 向心力 で学んだ各式が使えることになります。

求める引力を F 、惑星の質量を m 、円軌道の半径(惑星と太陽との距離)を r 、角速度を ω 、回転周期を T とします。

この引力は円運動する惑星にはたらく向心力のことだから

    F = m r ω ²    これに ω = を代入して

      = m r

      =    ……①

次に、ケプラーの第3法則より

    = k  (k は定数)

今の場合楕円を円とみなしているから、半長軸 = 半短軸 = 半径 、つまり a = r 、よって

    = k

⇒  = k r ²

⇒  =

これを上の①式に代入しますと

    F =

ここで  を K とおきます。π も k も定数だから K も定数。そうしますと

    F =

となり、この式は、

惑星にはたらく引力の大きさは、惑星の質量に比例し、太陽からの距離の 2乗に反比例する、 ……②

ということを表しています。

太陽側の立場も考慮

上で求めた式は惑星にとっての引力ですが、作用反作用の法則によれば太陽にも同じ大きさの力がはたらいているはずです。上式が惑星以外にも適用できるとするとそれは太陽にも適用できるということで、そうしますと、

太陽にはたらく引力の大きさは、太陽の質量に比例し、惑星からの距離の 2乗に反比例する、 ……③

ということになります。

②と③を同時に満たすためには、

太陽と惑星の間にはたらく引力は、太陽の質量に比例し、惑星の質量にも比例し、太陽と惑星との距離の 2乗に反比例する、

とならなければなりません。このことを式で表すと(太陽の質量を M 、定数を G とします)

    F =

となります。分子は M + m ではありません。これだと「太陽の質量に比例」かつ「惑星の質量に比例」となりません。M + m だとすると、 M が2倍になったときに M + m は2倍になりません。足し算ではだめです。掛け算です。

万有引力の法則

ニュートンはこの力が惑星と太陽の間にだけはたらくのではなく、あらゆる物体間にはたらくと考えました。これを万有引力の法則といい、定数 G万有引力定数といいます。

万有引力

F =

万有引力定数

18世紀のイギリスの物理学者キャヴェンディッシュニュートンと同じトリニティ・カレッジ出身。閉じるはねじり天秤を用いた実験で地球の比重を導き出しました。そしてその値から万有引力定数が導き出され、現在の高精度実験によると

    G ≒ 6.67 * 10 -11 N・m² / kg²

となっています。この数値は面白く、発表する機関によって数値がまちまちです。発表する年によっても違います。物理の根幹をなす数値なのに困ったものです。測定するのが難しいようです。測定が難しいほど小さい値だともいえます。閉じる

重力

重力=万有引力

重力加速度を g とすると質量 m の物体にはたらく重力は m g であることはおわかりだと思います。そして、この重力が万有引力のことであるということを 3-3-1-2 運動方程式 の最後の方 で少し説明しました。ここでもうちょっと詳しく説明します。

全質量が地球の中心に凝縮されているとみなす

ある物体が地球表面付近にあるとき、その物体と地球との万有引力がその物体にはたらく重力であるわけですが、厳密にいうと、地球を無数の小片に分割したときにそれら一つひとつと物体と間の万有引力の総和が重力であるわけです。しかし数学の積分によりますと、球体の各質点との間の引力の総和は球体の中心に全質量が集まったときの引力と等しいことが示されます。ここでは説明できませんが、数学の本を見てください。

遠心力を無視する

地球は自転していますので、地表にくっついている物体には遠心力がはたらきます。

北極点、南極点で遠心力は 0 になり、赤道で最大になります。万有引力と遠心力のベクトル和が重力となるわけです。ですので重力は厳密にいうと赤道付近ではわずかに小さくなっています。

しかし遠心力は万有引力に比べて小さい遠心力が最も大きくなる赤道上でも約 1/300 です。閉じるのでここでは無視します。

高さを無視する

万有引力の大きさは距離によって変わるので、物体を足元に置いたときと頭の上に置いたときでは地球との距離が変わってくるはずですが、地球の半径に比べたらとても小さいので無視します。富士山の高さ 3.776*103 m と地球の半径 6.4*106 m を比べても約 1/2000 です。

関係式

というわけで地表付近の質量 m の物体にはたらく重力は、6.4*106 m (これを R とおきます)だけ離れた位置にある質量 M (地球の質量)の物体との間の万有引力であるから

    m g =

であります。すなわち

    g =   または  G M = g R ²

この式から地球の質量 M を求めてみます。以下の3つの値を代入して M を求めます。
 g = 9.8 m/s²
 R = 6.4*106 m
 G = 6.7*10-11 N・m² / kg² = 6.7*10-11 ( kg・m / s² )・m² / kg² = 6.7*10-11 m³ / kg・s² 単位の演算 参照。
N = ( kg・m / s² ) となるのはおわかりでしょうか。
運動方程式 m a = F より
( kg )・( m/s² ) = N
です。閉じる

 M = = = = ≒ 59.9*1023 ≒ 6.0*1024 kg

何トンでしょうか。大きすぎてよくわかりません。

重力における反作用は無視

地表に置かれた物体には重力がかかって地球に引っ張られているわけですが、実はこのとき地球も物体に同じ大きさで引っ張られているのですこれは垂直抗力とは違います。3-2-1-4 作用・反作用の法則 の後半の説明をよく読んでください。閉じる。しかし地球の重さに比べると微々たるものなのでいままで無視してきたわけです。

たとえば、物体が数メートルの高さから落とされたとき、重力によって物体は下に落ちていきますが、同時に地球は上にごくわずかに引き上げられているのです。あまりにもごくわずかなので無視しているのです。このことは 3-2-1-4 作用・反作用の法則 の後半で説明しました。読み返してみてください。