第4編-第3章-第1節(前項まで)では熱について学びました。固体液体気体、何れの場合においても成り立つ一般的な法則を学びました。

第4編-第3章-第2節(本項から)では気体の場合についての熱的性質を学びます。

気体の圧力

圧力という単位については3-2-2-3 水圧の項で説明しました。

S [m²]の面積にF [N]の力が加わったときの圧力が p = F/S です。量記号のp は通常小文字で書き、圧力の単位はパスカル[Pa]です。大気圧の標準値は1013[hPa]=1.013*105[Pa]で、これを1気圧[atm]といいます。(3-2-2-3 水圧参照)

水圧のときは水深(高さ)を考えましたが、第3章-第2節での気体の圧力については高さは考えません。気体はとても軽いので数センチ、数メートルの単位では上部と下部で圧力が同じとみなせます。ですので水圧のときほど難しくは考えません。(気体の場合でも数キロの単位では上部と下部で圧力が違ってくるので水圧のように高さについても考えます。)

気体の圧力の根源は水圧と同様、ブラウン運動です。つまり分子の熱運動のことです。ですので熱運動の運動エネルギーが大きいほど(=温度が高いほど)気体の圧力は大きくなります。また、分子の数が多いほど気体の圧力は大きくなります。

温度を矢印の大きさ(=分子の動くスピード)で示すと、矢印が長いほど気体の圧力は大きくなります。壁に勢いよく当たりますし、衝突回数も増えるからです。

分子の数が多いほど気体の圧力は大きくなります。壁に当たる分子の数が増えるからです。別の表現をしますと、同じ分子の数であれば体積が小さいほど気体の圧力が大きくなります。単位体積当たりの分子の数が多くなるほど気体の圧力は大きくなるのです。

(さらに、ピストン付きシリンダーに気体が入れられた場合について → 補足ページ。)

ボイルの法則

一定量(左図では分子4個)の気体をピストン付きシリンダーの中に入れ、温度を一定に保ちながら、ピストンを押して気体を圧縮して体積を小さくしていくと、圧力は大きくなっていきます。体積を1/2、1/3、1/4と圧縮していくと圧力が2倍、3倍、4倍になっていきます。体積が小さくなると分子の壁への衝突回数が増えるからです。温度が一定のとき気体の圧力p [Pa]は体積V [m³]に反比例するのです。これをボイルの法則といいます。17世紀のアイルランドの物理学者ロバート・ボイルが発見しました。

ボイルの法則
温度と質量が一定のとき、気体の圧力p は体積V に反比例する
pV = k(一定)

この法則を別の表現で表わすと、「温度と質量が一定の気体を状態1から状態2へ変化させるとき、p 1 V 1 = p 2 V 2 が成り立つ。」となります。

ボイルの法則をグラフで表わすと左図のようになります。反比例のグラフです。温度が高かったり質量(=分子の数)が大きかったりするとグラフの曲線は点線の位置に移動します。これはボイルの法則の式におけるk のことを意味します。温度や質量が大きくなるとk が大きくなり、グラフの曲線は原点から遠ざかります。

等温変化 ボイルの法則のように、気体の温度が一定で圧力や体積が変化することを等温変化といいます。定温変化、定温過程などということもあります。(4-3-2-3 気体の状態変化参照)

シャルルの法則

一定量(左図では分子4個)の気体をピストン付きシリンダーの中に入れ、圧力を一定に保ちながら、気体を加熱していくと、体積は大きくなっていきます。上で説明したように、温度が上がると分子が壁に勢いよく当たり衝突回数も増えて、圧力が上がります。ピストンには重さが無く、かつ自由に動けるようにしておく(つまり、シリンダー内部の圧力と外部の圧力が等しくなるようにしておく)と、圧力が高まった内部の気体がピストンを押し、外部の気体の圧力とつり合うまでピストンを持ち上げます。圧力が一定のとき気体の絶対温度T [K]は体積V [m³]に比例するのです。これをシャルルの法則といいます。18世紀のフランスの物理学者ジャック・シャルルが発見しました。

シャルルの法則
圧力と質量が一定のとき、気体の絶対温度T は体積V に比例する
V/T = k(一定)

実際にシャルルが実験で導き出した式は、一定の圧力において0[℃]のときの気体の体積をV 0 [m³]、セルシウス温度t [℃]、そのときの体積をV [m³]とし、

シャルルの法則(セルシウス温度)
V = V 0 ( 1 + 1/273t )

というものでした。(補足ページ参照)。この式に絶対温度とセルシウス温度の関係式T = t + 273を代入すると、

 V = V 0 ( 1 + 1/273t ) = V0/273 (273 + t ) = V0/273 { 273 + (T - 273 ) } = V0/273 T   となり、V0/273は定数なのでk とおいて、

 V/T = k(一定) となり、上のシャルルの法則の式が導き出されます。

この法則を別の表現で表わすと、「圧力と質量が一定の気体を状態1から状態2へ変化させるとき、V1/T1 = V2/T2 が成り立つ。」となります。

シャルルの法則をグラフで表わすと左図のようになります。比例のグラフです。圧力が高いとグラフの曲線は温度軸に近づきます(左図の青点線)。質量(=分子の数)が大きいとグラフの曲線は体積軸に近づきます(左図の緑点線)。

等圧変化 シャルルの法則のように、気体の圧力が一定で温度や体積が変化することを等圧変化といいます。定圧変化、等圧過程などということもあります。(4-3-2-3 気体の状態変化参照)

ボイル・シャルルの法則

ボイルの法則 pV = k と、

シャルルの法則 V/T = k は組み合わせることができ、ボイル・シャルルの法則といいます。熱力学において最も有名な法則です。

ボイル・シャルルの法則
質量が一定のとき、気体の体積V は、圧力p に反比例し、絶対温度T に比例する
pV/T = k(一定)

この法則を別の表現で表わすと、「質量が一定の気体を状態1から状態2へ変化させるとき、p1V1/T1 = p2V2/T2 が成り立つ。」となります。

理想気体

ボイル・シャルルの法則は実在の気体(実在気体)では厳密には成り立ちません。実在の気体の分子には大きさもあり、分子間の相互作用もあり、誤差が出てしまいます。とくに低温や高圧のもとでは誤差が大きくなります。ですので仮想的に理想気体というものを考え、ボイル・シャルルの法則が完全に成り立つものとします。理想気体は理論上、絶対零度0[K]において体積が0[m³]になります。(補足ページ参照)。実在気体では温度が下がっていくと液体や固体になってしまうので体積が0になることはありません。

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