圧力

圧力という言葉の意味を物理的に厳密にいうと、「単位面積当たりにかかる垂直の力」、ということになります。

3223-11-1.gif「単位面積」とは、基準となる面積のことで、1[cm²]と考えてもいいし、1[m²]と考えてもいいです。左図の例では「単位面積当たり8本の矢印」と表現できます。

3223-11-2.gif単位面積の半分の面積に4本の矢印があるとします。するとこれは、単位面積に換算すると8本あることになり、上と同じく「単位面積当たり8本の矢印」といえます。

3223-20-1a.gif「垂直の力」というのは、たとえ面に斜めに力が作用していても垂直成分だけを考えるということです。(力の分解参照)。普通は、「面積にかかる力」といったら自動的に垂直にかかる力のことをいいます。

同じ面積に、より大きな力がかかれば圧力は大きくなりますし、同じ面積により小さな力がかかれば圧力は小さくなります。同じ力でもより大きな面積にかかれば圧力は小さくなりますし、同じ力でもより小さな面積にかかれば圧力は大きくなります。

面積を S [m²]、力を F [N]として、圧力を式で表しますと、

3223-10-1.gif圧力 p の単位はパスカル[Pa](17世紀のフランスの物理学者であり哲学者のPascalより。量記号としての p は小文字で書くことが多いようです。)であり、1[m²]当たり1[N]の力がはたらくときの圧力が1[Pa]と定義されています。1[Pa]=1[N/m²]です。

100[Pa]を1ヘクトパスカル[hPa]といいます。ヘクトは100倍という意味です。天気予報で大気圧を表すときなどに使います。海面での大気圧の標準値は1013[hPa]で、これを1気圧[atm](アトム、大気atmosphereから)といいます。1[atm]=1013[hPa]=101300[Pa]=1.013×105[Pa]です。

パスカルの原理

物質には、固体、液体、気体、という3種類の状態、物質の三態というものがあり、このうち液体と気体を流体といいます。自由に形を変えられるのが流体です。流体といってもここで考える流体は流れている流体(水流や風など)ではなく静止している流体です。本項と次項における流体とは静止流体のことです。

容器に閉じ込められた流体に圧力を加えて容器の体積を縮めようとすると、「その圧力は流体全体に等しく」伝わり、「あらゆる面」に「垂直」に作用します。これをパスカルの原理といいます。

3223-31-1.gif左図は容器の中に分子が充満している場面を示しています。一部の壁を押すと押された分子は隣の分子を押し、さらにその分子は隣の分子を押し…、と数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)に力は伝播します。そしてもし力の不均衡があると、分子はその力の方向へ動きます。やがて分子が動かなくなったとき、それはすなわち、力の均衡がとれて各分子にはたらく力がつり合ったということです。すなわちあらゆる箇所の力が同じ大きさになったということです。これが「圧力は流体全体に等しく伝わる」という意味です。(ミクロの視点でみたとき厳密には静止流体中の分子であっても揺れて動いてますが、マクロ(巨視)の視点でみると静止流体というのは風や水流などが無く、各分子は静止しています。)

3223-41-1a.gif圧力が「あらゆる面」に作用する理由は、流体中の分子というのはあらゆる方向に均等に揺れているからです。これをブラウン運動といいます。19世紀前半、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンが発見しました。

3223-42-1a.gif圧力が「垂直」に作用する理由は、分子はあらゆる方向に均等に揺れているので、面にぶつかるときの角度もあらゆる角度でぶつかり、その角度を平均すると垂直になるためです。

3223-31-2.gifこのパスカルの原理というのはあくまでも容器の体積を縮めるような力の加え方をしないと成り立ちません。左図のように真ん中の分子に力を加えるだけでは全体の圧力が高まるということはありません。流体中に渦ができるだけです。

3223-31-3a.gifもし左図のように風船を膨らませるのであれば、これは容器の体積を縮めることと同等となり、圧力が高まります。

体積が縮むような力のかけ方をするのがパスカルの原理が成り立つときのポイントです。といっても体積は観測できないほどわずかしか縮みません。高校物理では圧力をかけても体積は縮まないものとして扱います。

なおここまでの話は重力の影響を考慮してません。次の「水圧」では重力の影響を考慮します。

水圧

3223-30-1.gif容器の中の水は容器側面や底面を押しています。水中に物体があれば物体を押しています。また水分子同士も押し合っています。このときの水の圧力を水圧といいます。(ここでは、川の流れやホースによる流水のように水が動くことによる水圧は考えません。)

3223-40-1.gif左図のように水分子が並んでいるとします。隙間無く並んでいて静止しています。(実際には水分子はもっと複雑な配列で並んでいますし、各分子は揺れ動いています。左図は説明のための仮想モデルです。)

3223-40-2.gif右上の分子に着目してみますと、この分子には重力がかかり、その下の分子を下に押しています。

3223-40-3.gif押された分子は上に押し返す(作用・反作用の法則)と同時に左右下方向も押します。上で説明したパスカルの原理により力は全方位に伝播するからです。

3223-40-4.gif押された壁は作用・反作用によって押し返しています。

そして、全方位に等しく伝播するはずのところが、分子自身の重さによって下方向の力が少し強くなります。

この下方向の力が少し強くなるというのが水圧の根本原理です。

少し強くなった力で押された3番目の分子はそれと同じ力で全方向に押そうとしますが、ここでもまた3番目の分子自身の重さによって下方向の力が少し強くなります。

4番目も同様です。

拡大して説明します。

重さ 1.0 N (約102g) の球体が格子状に並んでいるとした場合、力の様子は左図のようになります。

3223-40-8.gifこれらの力をすべて図示すると左図のようになります。

3223-40-9a.gif横列の力を見比べるとその大きさは等しくなってますが、縦列の力を見比べると下に行くほどその大きさは大きくなってます。上から何段目であるかだけが水圧の大きさに関わってきます。水圧の特徴は、高さ(というか、深さ)のみによる、ということです。

3223-61-1a.gifたとえ容器の形が左図のように変化しても2段目や3段目の水圧は以前と変わりません。1段目が軽くなったので2段目、3段目にはたらく水圧も小さくなるように感じてしまうかもしれませんがそうではありません。

3223-61-2.gif左図の1の分子の重さが2の分子にかかり、その力は全方位に伝播するので、3の分子に影響を及ぼし、3の分子は全方位に力を及ぼすので壁を斜め上に押します。そして壁は作用・反作用によって3の分子を押し返します。このように壁からの押し返しがあるので、実は3の分子には変形前と同じ圧力がかかっているのです。

3223-61-3.gifたとえ容器が左図のように変わっても同じことがいえます。

左図の4の分子は負担が増えて水圧が増しそうですがそうではありません。5の分子を容器の壁が支えているので、4の分子の負担は増えません。容器の形が変わっても水圧は以前と変わらないのです。上から何段目であるかだけが水圧の大きさを決めるのです。

3223-61-4.gifこのような容器の底面(容器の内側の底面)の圧力と

3223-61-5.gifこのような容器の底面の圧力は同じです。

3223-201-2.gifこのような容器の底面の圧力と

3223-201-1.gifこのような容器の底面の圧力も同じです。

上図の容器には85粒入っていて、左図の容器には384粒入っているから底面の圧力が異なると考えるのは間違いです。もし、これらの容器が置かれた部屋の床にかかる圧力というものを考えるのなら違いが出ますが、容器の底面の圧力に関しては違いが出ません。

3223-201-3.gif下から3段目の粒たちは容器の上面とものすごい力で押し合いへし合いをしています。

3223-201-4.gif384粒あるときと同じ状態なのです。

3223-201-5.gifさらにいいますと、左図のように斜めになっていた容器を

3223-201-6.gif立てて高さが2倍になったとすると、底面の圧力も2倍になります。

このことは知らない人、誤解している人が多いです。例えば、直径が1cmしかない細い管でも何十メートルもの高さにして中に水を満たせば、とてつもなく大きな圧力を得られます。

どうも納得出来ないという方は上の「パスカルの原理」のところから読みなおしてみてください。

 

ここまでまとめますと、水圧の大きさは高さのみによる水圧はあらゆるものに対して垂直にはたらく、ということがいえます。

これらの特徴は水以外でも、油や空気でも成り立ちます。あらゆる流体で成り立ちます。パスカルの原理に重力の影響を加味したものがこれらの特徴です。ただし、水圧の場合は容器に蓋(ふた)がなくても重力があるのでいいのですが、パスカルの原理のみを考えるときというのは、容器が密閉されてなければなりません。分子が自由に容器外へ出られるような場合はパスカルの原理は成り立ちません。

 

ここで視点を変えまして、上で説明した水圧の原理のことは考えず、水の中に水柱があるものとして、水圧の式を求めてみます。

3223-81-1.gif水深 h [m]にあって水平方向に広がる面積 S [m²]の面にかかる力を考えます。

水の密度を ρ [kg/m³](ろーキログラム毎立方メートル)とします。 密度というのは大きさ当たりの重さのことです。正確にいうと、単位体積当たりの質量です。密度が大きいというのは大きさの割りにずっしり重いという意味で、密度が小さいというのは大きさの割りに軽いという意味です。物体の密度に物体の体積をかけると物体の質量になります。また、密度は比重という言葉と意味が近いですが微妙に違います。比重は密度の比のことをいいます。

面積 S [m²]の面の上にのしかかる水(水柱)の重さ(重力)から水圧p [Pa]を求めます。( ρ p は見分けにくいので気を付けてください。)

水柱の(体積)は、(底面積)S ×(高さ)h だから Sh [m³]

水柱の(質量)は、(密度)ρ ×(体積)Sh だから ρSh [kg]

水柱にかかる(重力)は、(質量)ρSh ×g だから ρgSh [N]

水圧は、(重力)ρgSh ÷(面積)S だから ρg h [Pa] (一番上の圧力の式参照)

さらに、水面の上に大気圧 p 0 [Pa]がかかっていることを考慮すると、水圧は p = p 0 + ρg h となります。

3223-90-1.gif左式のうち p 0 ρ g は数値が分かっています。大気圧 p 0 は上で説明したように1.013×105[Pa]です。水の密度 ρ は1000[kg/m³]です。(水1リットルが1kgというのはご存知だと思います。1m³というのは1000リットルなので1000kgで す)。重力加速度g は9.8[m/s²]です。

変化するのは h だけです。つまり、水圧は高さ(水深)のみによるということです。水でなくて他の流体においても密度 ρ が一定ならばこの式は成り立ち、その場合の圧力も高さのみによるといえます。

3223-85-1a.gifたとえばペットボトルに水を入れて任意の位置に穴を開けたとき、水の出る勢いはその地点の水深によります。

おまけ#omake

元ネタ
文系には分からない恐ろしい拷問を考えたったwwwwww
文系には分からない恐ろしい拷問を考えたったwwwwww : あじゃじゃしたー
理系にしかわからない拷問が「意味不明」だとTwitterで話題に|| ^^ |秒刊SUNDAY

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