3-2-1-2 力の合成と分解  [前項へ] [復習へ] [Home] [次項へ]

【力の合成】

3212-10-1.gif2[N]の力と2[N]の力を合わせれば3212-10-2.gif4[N]の力になります。これを力の合成といい、合わせられた力を合力といいます。このように同じ作用線上にあって同じ方向を向いている力同士の合成なら問題ありません。しかし力はベクトルなので特定の方向を向いているとは限りません。違う方向を向く力同士の合成はどう考えればよいでしょう。

たとえば3212-20-1.gifこのような2つの力があった場合、数学のベクトルの加法にならいます。すなわち平行四辺形の対角線が合力となります。3212-20-2.gif

もし3212-20-3.gif元の力の角度が60°であるなら3212-20-4.gifこの三角形は正三角形であり、平行四辺形の対角線の長さは各辺の長さと同じになるから、

3212-20-5.gif合力は2[N]となります。2[N]+2[N]が2[N]となるのです。4[N]とはなりません。なぜなら、3212-20-6a-2.gif縦方向の成分は打ち消しあってしまい、3212-20-7a-2.gif横方向の成分だけ残るからです。

ベクトルの加法を習ってない人のためにもう少し例を示します。

3212-30-2.gif 3212-30-3.gif 3212-30-4.gif

また、平行四辺形で考えなくても1辺を平行移動させて三角形を作って考えるやり方もあります。3212-30-5a.gif

ただし力を平行移動させていいのは力の合成をするときだけです。基本的に力は作用線上以外は移動させてはいけません。



【三角関数】

力の合成と分解について学ぶにはベクトルの加法とともに数学の三角関数の知識が必要となりますので、まだ習ってない人のためにここで説明します。

三角関数とは直角三角形における辺の長さ比のことで、角度が決まると辺の長さの比が決まります。そしてこのとき sin (さいん)、cos (こさいん)という記号を使います。

mgsin30-10-1.gif sin、cos、とは直角三角形における3つの辺のうちの2つを取り出したときの長さの比のことです。



mgsin30-11-1.gif sinθ =

あくまでもθを視点としたときの青辺の長さ赤辺の長さの比。左図ではθ=30°、青辺の長さ=2、赤辺の長さ=1で、sin30°=1/2

θ が大きくなると sinθ = も大きくなります。

sin はカマキリの手をイメージしてください。



mgsin30-11-2.gif cosθ =

あくまでもθを視点としたときの青辺の長さ緑辺の長さの比。左図ではθ=30°、青辺の長さ=2、緑辺の長さ=√3(≒1.73)で、cos30°=√3/2≒1.73/2

θ が大きくなると cosθ = は小さくなります。

cos はコンパスをイメージしてください。



これらはあくまで直角三角形での話で、他の三角形では成り立たちません。

物理の基本問題に出てくるのはたいてい、
上と同じ比率の直角三角形。3つの角がそれぞれ、30°、90°、60°で、3つの辺の長さの比が 2 : √3 : 1 である三角形。mgsin30-10-2.gif

もしくは、直角二等辺三角形。それぞれの角が、45°、90°、45°で、3つの辺の長さの比が √2 : 1 : 1 である三角形。mgsin30-10-3.gif

sin30°=1/2 、sin60°=√3/2 、cos30°=√3/2 、cos60°=1/2 、sin45°=cos45°=1/√2 、と覚えなければなりません。その他の角度については覚えなくても大丈夫です。もし知りたい場合は数学の教科書の巻末の三角関数表を見て調べます。あるいは高機能電卓で導き出すことができます。実戦での用い方は3-3-2-3 斜面上の運動を参照してください。



【力の分解】

力の合成の反対が力の分解です。

3212-40-1.gifこのような力を3212-40-2.gifこのように分解したり3212-40-3.gifこのように分解したりします。分解した力を分力といいます。

高校物理において力の分解をするときは、斜交座標3212-60-1.gifではなく、直交座標3212-60-2.gifである場合がほとんどです。

ですので3212-40-1.gifこのような力は3212-70-1.gifこのように分解することが多いです。

x軸、y軸を定めて力の分解をおこなうと、

3212-80-5a.gif3212-90-1.gifx 軸上の分力が3212-90-2.gify 軸上の分力が3212-90-4.gifです。

このときの3212-90-2.gifの大きさ3212-90-3.gif3212-90-1.gifx 成分といい、3212-90-4.gifの大きさ3212-90-5.gify 成分といいます。(量記号の上の→の有無については3-1-1-1参照)

3212-90-2.gifx 軸とのなす角をθ としますと、

3212-80-6a.gif上で説明した青、緑、赤の直角三角形を当てはめることができ、

3212-90-3.gifは緑線、3212-90-5.gifは赤線と同じ大きさになり、

3212-90-7.gif3212-90-8.gif と表すことができます。

もし3212-90-1.gifの大きさが10[N]で、θ =30°であるならば、

cos30°=√3/2≒1.73/2=0.87であるので、分力3212-90-2.gifの大きさは 10×cos30°≒10×0.87=8.7[N]、

sin30°=1/2=0.5 であるので、分力3212-90-4.gifの大きさは 10×sin30°=10×0.5=5.0[N] となります。


この力の分解については3-3-2-3 斜面上の運動を読んでもらうと、より理解が深まると思います。











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