2-3-2-1 レンズを通る光 [前項へ] [復習へ] [Home] [次項へ]

”第2節 レンズ”では、眼鏡やカメラや望遠鏡に使われる、レンズについて学びます。レンズとは、2つの球面で形作られたガラスなどでできた透明体で、光を屈折させて集束や拡散などをさせるものです。中心部が分厚い凸レンズ(とつれんず)と中心部がえぐれた凹レンズ(おうれんず)があり、それぞれの特徴を学び、次項以降でレンズの公式を導き出します。

【焦点】

2321-10-1.gif レンズの中心を通りレンズ面に垂直な直線を光軸といいます。

2321-10-2.gif 光軸に平行な光線を凸レンズの左側から当てると、レンズで屈折し右側の光軸上の1点を通過します。この点F を凸レンズの焦点といい、レンズの中心からの距離 f焦点距離といいます。(前項で波長によって屈折率が異なると説明しました。ですので左から当てる光がさまざまな波長を含んだ太陽光や白熱電球の光だったりすると光の分散が起こり、光が1点に集まりません。よって高校物理のレンズの問題における光は単一波長のレーザー光であることが前提です。さらに厳密なことをいうと球面レンズではたとえレーザー光を使っても球面収差という問題が起こり光を1点に集めることができません。そのために非球面レンズ(完全な球ではない球面)というものが使われます。しかしここまで細かい話は高校物理では無視します。)

2321-10-3.gif 光を右から当てた場合も左側の同じ距離の場所に光が集まります。焦点はレンズの両側にあるのです。


2321-20-a.gif 光軸に平行な光線を凹レンズの左側から当てると、レンズで屈折し広がって行きます。これらの光線を反対向きに延長すると光軸上の1点に集まります。この点Fを凹レンズの焦点といいます。

2321-20-3.gif 凹レンズの場合も焦点は両側にあり、両方の焦点距離は等しくなってます。(両方の焦点距離が等しくないレンズも存在しますが、難し過ぎるので高校物理では取扱いません。)



【光の逆行】

2321-10-4a.gif 光が1度通ってきた路(みち)に逆向きの光を当てると来た路をそっくりたどります。光の逆行といいます。

2321-10-6.gif 違う路を通ることはありません。



【レンズによる像】

物体からでた光線がレンズを通ってどのような像を作るかということを考える場合、進み方の分かっている3本の光線について考えると分かりやすくなります。

(凸レンズ)
2321-30-1.gif (1)光軸に平行な光線は、凸レンズを通った後、焦点を通る。

(2)凸レンズの中心を通る光線は、そのまま真っ直ぐ進む。(厳密にいうと厚みのあるレンズでは少し屈折してしまいます。本項の最後で説明しますが高校物理では厚みが無いと仮定します。)

(3)焦点を通る光線は、凸レンズを通った後、光軸に平行に進む。

(凹レンズ)
2321-30-2.gif (1)光軸に平行な光線は、凹レンズを通った後、レンズ手前にある焦点から出たように進む。

(2)凹レンズの中心を通る光線は、そのまま真っ直ぐ進む。

(3)レンズ後方の焦点に向かう光線は、凹レンズを通った後、光軸に平行に進む。


2321q-10-1.gif 凸レンズにおいて、焦点より遠いところに置かれた物体AA'の像BB'は左図のようになりますが、像BB'はAA'を逆立ちさせたような像なので倒立像といいます。この位置にスクリーンを置くと実際に映し出されるのでこの像を実像といいます。あとで説明しますがスクリーンを置いても映し出されない像は虚像といいます。

2321q-10-2a.gif 物体の先っぽだけでなく中ほどの部分の像や根元の部分の像についても、(1)、(2)、(3)にのっとって考えてみると左図のようになるので、確かに倒立像ができることが分かると思います。

2321q-10-3a.gif この場合、光線は3本ずつしか発生していないわけではなく、無数の光線がレンズを通り像を作っています。(1)、(2)、(3)というのは考えるときに考えやすい代表的な3本ということです。でも実際には無数の光線がきれいに集結するわけではなく上の方で述べた球面収差という問題が起こってしまいます。これらの話は大学物理の幾何光学という分野で詳しく習います。

2321q-10-4.gif また頭の中で混乱してしまいそうになるのが、スクリーンを置かないときそこに像が見えるのか、という問題ですが答えは、見えません。

2321q-10-5.gif 像ができる場所の炎の位置Bからレンズを見ればレンズ全体が赤く見えます。

2321q-10-6.gif ロウ本体の像ができる位置B''からレンズを見ればレンズ全体がグレーに見えます。

2321q-10-7a.gif 遠く離れた位置からレンズを見ればレンズの下半分に倒立したロウソクが見えます。レンズから目に届く光線は光軸に平行な光線(=レンズ手前の焦点を通る光線)だけです。それ以外の光線は上や下に行ってしまって目には届きません。

2321q-10-8.gif 像ができる場所と無関係な場所からレンズを見ても何も映っていません。


なんとなく感じがつかめたでしょうか。よけいな説明をしてしまって返って混乱させてしまったかもしれませんが、高校物理のレンズの問題は人間の目でみてどう見えるかということはあまり考えなくていいです。物体から出た光線がレンズを通ってどのように進むのかということを考えるのが主です。「像」という言葉が何度も出てきますがそれは観念的なもので、人間が見てそこに像が浮かんで見えるというわけではないことを頭に入れておいてください。



【レンズの厚みの無視】

高校物理ではレンズの厚みを無視して考えることが多いのでそのことをことわっておきます。 
本当は2321q-20-1.gifであるのに2321q-20-2.gifとみなします。
また2321q-20-3.gif2321q-20-4.gifと作図したり、
2321q-20-5.gif2321q-20-6.gifと作図したりします。











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